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3月22日(土)「地域で支える認知症シンポジウム」開催報告


2014年3月22日(土)13時30分~16時00より札幌市北農健保会館にて「地域で支える認知症シンポジウム」を開催致しました。
●基調講演 杉岡 直人氏(北星学園大学教授)
●シンポジスト ・下川原清美氏(NPO法人さっぽろ福祉支援ネットあいなび)・燕 信子氏(NPO法人つなぐ)・覚知由美氏(白石まちづくりハウス)コーディネイター ・奥田龍人氏(NPO法人シーズネット) コメンテーター ・杉岡 直人氏(北星学園大学教授)
●参加者:54名

杉岡 直人氏(北星学園大学教授)

杉岡 直人氏(北星学園大学教授)

基調講演 13:40~14:25
<時代背景>
有吉佐和子の「恍惚の人」が空前のベストセラーとなったことを例にあげ、認知症とその家族の問題は古くから、社会問題として取り上げられていたにも関わらず、家族の問題とされてきたと問題点を指摘。2040年には高齢化率が40%を超える(北海道)と言われる時代において、認知症を取り巻く問題はもう家族で支える限界をすでに超えているが、一方で施設等への入所も限られており、「地域で支える」という必然が生まれている。

<地域で支えるには…家族の心構え>
在宅で生活したいという高齢者も多いことは事実だから、家族介護はどうしても基本となるだろうが、家族がいつでも優しく接することはとても難しい。本人と家族だけにしない、孤立しないことが大切であり、ボランティアの受け入れも積極的に取り入れるなど社会的なつながりを維持することが重要である。
<地域で支えるには…運営側 当該事業報告概要から>
人材育成講座…地域の人はもちろんであるが、運営に関わるスタッフ、ボランティアが知識を得ることは大切であり、その後の段階的なスキルアップも必要。
認知症カフェ…認知症状のある人とその家族を受け入れる居場所の設置については関心が高く、一定の効果も得られていることから、さらなる継続的な開催を望む声が多い。コーディネイター…実際に地域に合わせて世話役のような役割をする人材を配置することが重要である。まとめとして、認知症問題の見える化と早期対応、居場所づくりのネットワークを活かして効果的な連携、ボランティアの段階的な育成、支え合いを広げるコーディネイターの設置の4つを確認した。
シンポジウム 14:40~16:toudansya00
<オレンジカフェの効果>
①地域の人、地域の専門職とつながりができた。②認知症の方や家族の方も参加して、楽しいひとときを過ごすことができた。
③運営にボランティアを巻き込むことで、社会参加、役割づくりにもなった。④ひとり暮らしの方などにも呼びかけ、引きこもり防止にも役立った。
<オレンジカフェの課題 相談支援の取り組み>
①初回から相談という場面は少ない。継続して実施することで地域や家族との関係性ができ相談に結びつく。1~2回の実施では不十分。継続することに意義がある。
②ご本人とご家族を両方受入れ、かつ相談の場面は分離できる仕組みが必要である(例:ご本人は1階のカフェ、ご家族は2階の相談コーナーで相談など)
③専門職の協力が必要で、地域包括支援センター、介護予防センターの活用など札幌市の担当課に依頼しておくとよい。
④チラシなどに相談例などを載せておくと相談内容の見当がつく。
<オレンジカフェの課題 地域連携の取り組み>
①広報面で町内会などの協力を得られるとよい。②札幌市の後援を得ておく方がスムーズに運べる。③地元の自治組織、地元の介護保険施設、地元の相談機関の3つを結びつけコーディネートすることが重要である。
<オレンジカフェの課題 認知症支援というテーマをはっきり打ち出す>
①参加対象者が限定されてしまうという懸念もあるが、認知症を支えるという開催趣旨をチラシなどにはっきり打ち出すことは必要である。認知症本人と家族を地域が受け入れるという社会的なメッセージを発信する役割も果たす。
<オレンジカフェの課題 運営費>
①ボランティアによる運営でもコーディネーターの人件費が厳しい。継続運営の最大のネックである。②材料費や食材費などは参加料をきちんと取って運営すべき。③将来、認知症の方も増えて来る。地域で支える体制づくりはまったなしである。この事業が有効であれば行政も補助金を考えるだろう。そのためにも何年か継続して結果を出して、行政に働きかける必要がある。その間は様々な助成金に応募するなどして継続を模索していきましょう。
※会場とのやりとり 質問票、他都市から参加の方、行政職員、家族会等